トケイノヲト

趣味の時計 記録簿 現在上海赴任中

Revue Thommen Cricket 1997

手巻きアラームウォッチ。
レビュートーメンクリケット1997 ref.8010007です。
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モデル名にある通り1997年、20年以上前のモデルです。15年ほど前に中古で入手しました。
クリケットと言えば、ルクルトのメモボックス、セイコーのベルマチックなどと並ぶ代表的な機械式アラームウォッチですね。
元々は世界初のアラームウォッチとしてヴァルカンが開発したのですが、ヴァルカンがレビュートーメンとともにMSRグループとして統合された際にレビュートーメンに引き取られました。その後ヴァルカンはしばらく休眠状態だったのですが2002年に復活。そのタイミングでクリケットもヴァルカンに返還されています。
と言う事で今ではクリケットと言えばヴァルカンで、レビュートーメンではクリケットを扱っていません。
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このモデルはそんなクリケットの50周年記念としてレビュートーメンから発売されたモデルの一つです。マットホワイトのダイアルに配置されたインデックスはアプライドで90度位置のみローマ数字です。中央部に施されたテキスタイルの様なパターンも相まって非常に上品な雰囲気の時計です。こう言うパターンもギョーシェ彫りの一種と言えるのでしょうかね?
時分針はドーフィン。申し訳程度に夜光が入ってます。よく見るとダイアル端、5分おきにドットの夜光もありますね。どちらにせよ経年劣化なのか針もドットも今では殆ど発光しません。
先端矢印の針がアラーム設定用です。

ムーブメントはヴァルカンが開発したクリケットオリジナルのCal.120を搭載しています。
時刻設定とアラームの時間セット、そして時計自体のゼンマイとアラームのゼンマイの巻き上げの4つの操作を3時位置の竜頭で行います。
竜頭を時計回りに巻くとアラームのゼンマイが、反時計回りに巻くと時計のゼンマイが巻かれます。
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竜頭を普通に引き出せば時刻設定が出来ます。
2時位置にあるボタンを一段押し込むと竜頭が少し飛び出してアラームがオフに。さらにボタンを押し込むと竜頭がさらに飛び出し、竜頭でアラームの時刻設定ができるようになります。
と、文章で読んでもワケわからんですよね。でも一度操作すればすぐに覚えられる中々良く出来た機構だと思います。
機構の複雑さの代償でしょうか、時刻合わせもアラームセットも針は一方向にしか回せません。つまり誤って行き過ぎた場合はもう一度12時間分回す必要があります。でも竜頭自体は掴みやすく回しやすいですし、竜頭と針の回転比も高いのでスイスイ回せてそれほど苦にならないです。ハックも無しですね。
ちなみにレビュートーメンクリケットでもアシールド社の汎用アラームムーブを搭載しているモデルもあって、そちらは2時位置と4時位置に竜頭があるので外観から区別が出来ます。

クリケットと言うのはコオロギの事ですね。コオロギの鳴き声の様な音が鳴るからと言うのが通説で、私も長らくそう思っていたのですが、実際の音はコオロギの鳴き声とは程遠いです。突然鳴るとかなり驚くぐらい大きい音で、人が多い場所では鳴らすのを躊躇してしまうほどです。
YouTubeで「Vulcain Cricket」や「REVUE THOMMEN Cricket」で検索するとその音色をアップしてる方が沢山いるので聴いてみて下さい。
https://m.youtube.com/results?search_query=vulcain+cricket#searching

どうです?コオロギじゃないですよね。敢えて虫に例えれば虫籠の中で暴れるアブラゼミでしょうかねw

調べると音色から来ているのでは無いと言う説もある事がわかりました。
1940年代、多くの時計製造会社がアラームウォッチの開発に難航する中、ヴァルカン三代目経営者ロベール・ディティシャイムが「コオロギのような小さな虫が、大きな音を出せる以上、腕時計の様な小さなケースでも同じことができるはずだ」と言う物理学者の友人の助言に勇気づけられ、開発を成功させた、と言うエピソードがありそれがネーミングの由来であると言う説もあるようです。この時計の音色を聴く限りこちらの説が真実に近いのではないかなと個人的には思ってます。

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裏蓋の様子です。前のユーザー含めて長くステンブレスで使われていたので、結構キズがありますね、、。
普通の時計と異なり、通常の裏蓋の内側にもう一つ蓋が見えます。ハンマーでこの二重構造の裏蓋をたたき音を増幅させることで強力な音を出しているそうです。穴が開いていて楽器みたいですよね。これを見るとリゾネーターギターを連想してしまうのは私だけでしょうか?

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ケースサイズは38㎜、厚さは11.5㎜です。ステンブレスは無垢の5連。かなり落ち着いた雰囲気です。オッさん臭いとも言えますね^_^;
正直デザインは二の次でアラームウォッチの物珍しさで買ってしまった感もあり、鑑賞メインで稼働率があまり高くありませんでした。

今は先日作った自作NATO風ベルトに付け替えて使ってます。今回使ったベルトの織り模様がちょうどダイアルのギョーシェパターンと相性が良く、中々のマッチングじゃないかなと思ってます。オッさん臭さも軽減して服装に合わせやすくなりました。
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今の時代、時計自体もそうですが、アラームもスマホの方が圧倒的に便利です。でもデジタルに溢れた今の時代だからこそ、あえてゼンマイ駆動のアナログベルの音色で時間を知ると言うのも味わい深く、価値があるんじゃないでしょうか。
機械式時計好きなら一度はアラームウォッチに興味を惹かれますよね。
ヴァルカンがオリジナルですが現行品も中古も結構いい値段します。その点、レビュートーメンなら中古市場でそれなりの数が流通しているようですし、価格もお手頃なものも見つかると思います。実際にはあまり便利ではないかも知れませんが、意味なく鳴らしたりするだけでも楽しいですよ。皆さんも一ついかがですか?

そう言えばレビュートーメンにはクリケットクラブと言う時計もありますが、そちらはアラームウォッチではありません。紛らわしいのでご注意を。
ではまた。


Revue Thommen Cricket 1997 ref.8010007
ムーブメント: Cal.120 手巻きアラーム
サファイアクリスタル風防
ケース幅(㎜): 38
ケース厚さ(㎜): 11.5
防水:50m/160ft



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